会議で知らない略語が出てきて、とりあえずうなずいてやり過ごした。
席に戻ってから検索したけれど、出てきた解説がまた別の専門用語だらけで、結局よく分からないまま終わった。——こういう経験、ありませんか。
地方の中小企業で社内SEをしています、さかもとです。私も同じことを何度もやっています。そして分かったのは、この問題のつらさは、知らないことそのものではないということです。
40代が用語を聞けないのは、知識ではなく立場の問題
新入社員なら、「すみません、それ何ですか」と聞けます。むしろ聞くのが仕事です。周りも喜んで教えます。
40代は違います。
新人は聞ける。40代は、聞けない。
会議の場で手を挙げて「KPIって何でしたっけ」とは言えません。周りは全員、あなたが当然知っている前提で話を進めています。そこで止めると、話が止まるだけでなく、「この人、分かっていなかったのか」という空気が残ります。
つまり問題は、知らないことではなく、聞けないことのほうです。知識の差ではなく、立場の差から来ています。だから「勉強しましょう」という解決策は的外れで、必要なのは誰にも見られずに確認できる場所です。
AIになら、何度でも聞ける
そこでAIです。理由は単純で、相手がいないからです。
- 何度聞いても、誰も嫌な顔をしない。 同じことを3回聞いても平気です
- 自分のレベルを指定できる。 「専門外の人にも分かるように」と最初に頼めます
- 文脈ごと渡せる。 「こういう会議で、こういう流れで出てきた言葉です」と状況を添えられます
検索との違いはここです。検索は、書いてあるものを読むしかありません。AIは、分からなかったらその場で「もっと簡単に」と言い直せます。この往復ができることが、用語調べでは決定的に効きます。
聞き方の型は、3つだけ

そのまま使える型を3つ紹介します。
1. 意味を、自分に合わせて説明させる
ただ「意味を教えて」だと、辞書のような答えが返ってきます。誰向けの説明が欲しいかを添えます。
「アジャイル開発」という言葉の意味を、ITが専門ではない40代の会社員にも分かるように、身近な例え話を交えて300字以内で教えてください。
「例え話を交えて」と「文字数」の2つを入れるのがコツです。例え話があると記憶に残り、文字数を切ると要点だけに絞られます。
これでも分からなければ、「もっと簡単に」「もう一度、別の例えで」と言い直してください。何度でも大丈夫です。
2. 会議で出た略語を、まとめて聞く
一つずつ検索するのは効率が悪いので、メモした略語をまとめて投げます。
今日の会議で以下の言葉が出てきました。それぞれの意味と、実際にどういう場面で使われるかを、1つずつ2〜3行で教えてください。
・KPI ・PDCA ・リスケ ・FYI ・エビデンス
会議中は、意味を考えずにとにかくメモだけ取っておくのがポイントです。その場で理解しようとすると、話についていけなくなります。会議のあと、まとめて5分で片付けます。
3. 社内だけの言葉は、「推測して」と頼む
ここがいちばん実用的です。
社内用語は、AIも知りません。ネットにも載っていません。それでも、「推測してください」と頼むと、当たりを付けてくれます。
私の会社では「◯◯シート」という書類がよく使われています。一般的なビジネスの場面でこの名前の書類が使われる場合、どういう役割の書類である可能性が高いですか。考えられるものをいくつか挙げてください。
完全な正解は出ません。でも「たぶんこの手のものだ」という見当がつくだけで、その後の動き方がまったく変わります。見当がついた状態でなら、「これって要するに◯◯の管理表ですよね」と確認できます。ゼロから聞くのと、確認するのとでは、聞くハードルが全然違います。
✓ 用語をAIに聞く、3つの型
- 意味を自分に合わせて — 「専門外の40代にも分かるように、例え話で300字」
- 略語はまとめて — 会議中はメモだけ。あとで一度に投げる
- 社内用語は「推測して」 — 当たりが付けば、確認する形で聞ける
- 分からなければ言い直す — 「もっと簡単に」「別の例えで」は何度でも
40代は、「聞かれる側」でもある
もう一つ、この年代ならではの使い方があります。
40代は、分からない側であると同時に、部下から「これ何ですか」と聞かれる側でもあります。しかも聞かれるのは、自分も何となくしか分かっていない言葉だったりします。
そういうときは、説明そのものをAIに作らせます。
「エビデンス」という言葉を、入社1年目の社員に説明したいです。身近な例え話を使って、3行で説明する言い方を考えてください。
出てきた説明を、そのまま自分の言葉に直して伝える。これは手抜きではなく、分かりやすく伝えるための準備です。人に説明できる形に整えていく過程で、自分の理解も固まります。
「知らないから聞かれるのが怖い」が、「聞かれたら一度AIに整理させればいい」に変わると、日々の気分がだいぶ違います。
社内の言葉をAIに聞くときの、注意点

社内のIT管理をしている立場から、一つだけ。
型3の「社内用語を推測させる」は便利ですが、社内用語には、案件名や取引先の名前が混ざっていることが多いです。
一般的なビジネス用語(KPI、リスケ、エビデンス等)を聞くのは、まったく問題ありません。注意が要るのは、自社にしかない言葉のほうです。「A社案件シート」のような固有名詞入りの言葉は、◯◯シート に置き換えてから聞いてください。答えの精度はほとんど落ちません。
⚠ 社内用語を聞く前に
- 一般的なビジネス用語は、そのまま聞いてよい — KPI・リスケ・エビデンス等
- 案件名・取引先名が入った言葉は置き換える — 「A社案件シート」→「◯◯シート」
- 社内資料そのものを貼らない — 用語だけを聞くなら資料は要らない
- 会社にルールがあれば、それが最優先
会社に生成AIの利用ルールがあるなら、当然そちらが優先です。ルールが無い場合の線引きは別の記事にまとめました。
社内資料があるなら、専用の辞典も作れる
もし社内の用語集や規程がPDFであるなら、それを読み込ませて自分専用の用語辞典を作る方法もあります。NotebookLMを使うと、渡した資料の中だけを見て、根拠つきで答えてくれます。
ただし、社内資料をアップロードする話になるので、上の注意点がそのまま当てはまります。会社のアカウントで使えないかを先に確認してください。
まとめ:分からないまま会議を出ない
やることを整理すると、これだけです。
- 会議中は、分からない言葉を理解しようとせずメモだけする
- あとでまとめてAIに聞く。「専門外の40代にも分かるように、例え話で」
- 社内用語は「推測して」と頼んで、当たりを付ける
- 人に説明するときも、AIに例え話を作らせる
- 固有名詞が混ざる言葉は、記号に置き換えてから聞く
聞き方をもう少し詰めたい方は、指示の型の記事もどうぞ。この記事の例文も、その型に沿って書いています。
まだAIを触っていないという方は、こちらから始めてください。
「今さら聞けない」という気持ちは、40代なら誰にでもあります。ただ、聞けないまま分からないでいる必要は、もうありません。会議のあとの5分で片付きます。
そして、こうした調べ方に慣れてくると、次はたいてい「もっと体系的に学びたい」という話になります。そのときの学び方については別の記事にまとめました。
→ 40代からのリスキリングで挫折しないコツ。現役社内SEが実践する「小さく試す」学び方
次の会議は、分からない言葉をメモするところから始めてみてください。


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