明日の会議の資料が、前日の夕方に回ってきた。開いたら30ページあった。
しかも自分が主担当ではない案件で、それでも意見は求められる。——40代になってから、こういう資料が明らかに増えたと感じています。
地方の中小企業で社内SEをしています、さかもとです。私の場合はベンダーさんの提案書や、他部署から回ってくる規程の改定案がこれにあたります。全部読む時間はないけれど、「読んでいません」とは言えない立場になってしまった。
この記事では、Googleが無料で提供している NotebookLM を使って、分厚い資料を短時間で把握するやり方をまとめます。
40代の資料がしんどいのは、量ではなく「担当外」だから
若い頃は、渡される資料は自分の仕事に直結するものでした。だから時間をかけて読む意味がありました。
40代になって変わったのは、自分の担当外の資料を読まされる回数です。他部署の企画、業者の提案、社内規程の改定。どれも自分の専門ではないのに、会議では意見を求められます。
こういう資料に必要なのは、精読ではありません。「何が書いてあって、自分に関係するのはどこか」を短時間で掴むことです。ここはAIが得意な仕事です。
NotebookLMがChatGPTと違うのは、「渡した資料しか読まない」こと
先に、一番大事な違いを書きます。
NotebookLMは、あなたが渡した資料の外側にあることを答えません。
ChatGPTは、世の中の膨大な知識をもとに答えます。便利な反面、資料に書いていないことを、それらしく混ぜてくることがあります。いわゆるハルシネーションです。
NotebookLMは仕組みが違います。あなたがアップロードした資料の中だけを見て答えます。範囲が限定されているぶん、雑談には向きませんが、手元の資料について正確に知りたいという用途にはこちらが向いています。
答えの「どこに書いてあるか」が分かる
もう一つ、実務で効くのがこれです。
NotebookLMの回答には、その根拠になった箇所へのリンクが付きます。クリックすると資料の該当部分が開くので、「本当にそう書いてあるのか」をその場で確認できます。
AIの要約を仕事に使うとき、一番怖いのは数字や条件を間違って受け取ることです。普通のAIだと、確認しようとしても資料のどこを見ればいいか分からず、結局全部読む羽目になります。
NotebookLMなら、確認したい1箇所だけを開いて確かめられます。「AIに読ませて、大事なところだけ自分の目で検算する」が現実的な時間でできるようになる、というのがこのツールの本当の価値だと思っています。

使い方は3ステップだけ
Googleアカウントがあればブラウザですぐ使えます。インストールは要りません。
ステップ1. 資料をそのまま渡す
新しいノートブックを作って、資料をアップロードします。PDFをそのまま放り込むだけです。
PDFのほか、Googleドキュメント、テキスト、ウェブサイトのURLなども読み込めます。複数の資料を1つのノートブックにまとめて入れられるのがポイントで、「提案書+前回の議事録+社内の関連規程」をまとめて渡せば、それらを横断して答えてくれます。
対応している形式は増え続けているので、手元のファイルが読めるかどうかは実際に試すのが早いです。
ステップ2. 「目的」を添えて要約させる
「立場」と「目的」を添えるこのやり方は、AI全般に効く指示の型です → AIの回答が「なんかイマイチ」な理由。40代のための、指示の型「役割・背景・形・制約」
ここが一番差が出ます。ただ「要約して」と頼むと、当たり障りのない要約が返ってきます。
何のために読むのかを一緒に伝えてください。
この資料を、以下の3点で要約してください。
・結論(この資料が何を求めているか)
・その根拠
・次に決めなければいけないこと
私は情報システム部の担当で、明日この件の会議に出ます。
自分に関係する箇所があれば、最後にまとめてください。
最後の2行を入れると、自分の立場から見た読み方をしてくれます。同じ資料でも、経理の人と現場の人では読むべき場所が違うので、ここを伝えるかどうかで実用性がまったく変わります。
ステップ3. 気になるところを深掘りする
✓ 会議前の5分で、これだけやる
- 資料をアップロードする — PDFのまま。複数まとめて入れてよい
- 立場と目的を添えて要約させる — 「何のために読むか」が一番効く
- 引っかかった所を追加で質問する — 会話でそのまま掘れる
- 金額・期限・条件は原文で確認する — 引用元リンクから1箇所だけ開く
要約を読んで、引っかかった部分を追加で質問します。
- 「3つ目の根拠を、もう少し詳しく説明して」
- 「費用について書かれている箇所を全部あげて」
- 「この提案のリスクとして書かれていることは何?」
会話形式なので、思いついた順に聞けば大丈夫です。そして気になった数字は、引用元のリンクから原文を開いて確認する。ここまでやって5分程度です。
通勤時間に「聴く」という選択肢
NotebookLMには、読み込ませた資料の内容を2人の会話形式の音声にする機能があります(音声概要)。ラジオ番組のように、資料の要点を対談形式で解説してくれます。
これが40代に効くのは、読む時間は取れなくても、聴く時間なら取れるからです。通勤の車の中、移動の電車、昼休みの散歩。私は片道30分の通勤で聴くことが多いです。
精読の代わりにはなりません。ただ、会議の前に一度耳から入れておくと、資料を開いたときの理解が明らかに速くなります。前提知識がない案件ほど効果があります。
議事録づくりにも応用できる
資料が多い会議の議事録をまとめるときにも使えます。
録音の文字起こしと、事前配布の資料を両方読み込ませると、「前回はこう決まっていた」という文脈まで踏まえた議事録になります。定例の会議や、複数回にまたがる案件で効きます。
ふだんの議事録は、もっと簡単な3ステップで足ります → 議事録に会議の倍の時間をかけていませんか

社内SEとして、これだけは言っておきたい
⚠ 会社の資料を上げる前に
- 個人のGoogleアカウントで使わない — 会社の情報を社外に持ち出したのと同じことになる
- まず会社の業務用アカウントで使えないか確認する — 情報システム部門に聞くのが早い
- 社外秘・人事・未公開の案件は上げない — 便利さより先に判断する
- 使い終わったノートブックは消す — 資料が入ったまま残り続ける
ここまで便利さの話をしてきましたが、社内のIT管理をしている立場から、どうしても言っておきたいことがあります。
一番の問題は、個人のGoogleアカウントで使ってしまうことです。
NotebookLMはGoogleアカウントがあれば誰でも使えます。手軽なぶん、会社の資料を自分の私物アカウントにアップロードしてしまいがちです。これは会社の情報を社外に持ち出しているのと変わりません。
悪意がなくても、退職時にアカウントごと残ります。管理する側から見ると、そこに何が入っているか把握する手段がありません。
会社が法人向けのGoogle Workspaceを契約しているなら、会社のアカウントで使えないかを情報システム部門に聞いてみてください。「使っていいですか」ではなく「業務用アカウントで使えますか」と聞くのがコツです。前者は判断を求められるので止められやすく、後者は環境の相談になります。
会社に生成AIの利用ルールがあるなら、当然そちらが優先です。ルールがない場合の線引きについては、別の記事にまとめました。
もう一つ。根拠が示されるからといって、要約を鵜呑みにはしないでください。 引用元が付くのは「資料のどこを見ればいいか分かる」という意味であって、要約の解釈が正しいことの保証ではありません。金額・期限・条件の3つだけは、必ず原文を開いて自分の目で読んでください。
まとめ:全部読まなくていい、という前提に切り替える
やることを整理すると、これだけです。
- NotebookLMに資料をそのままアップロードする
- 「自分の立場」と「知りたいこと」を添えて要約させる
- 引っかかった部分を追加で質問する
- 金額・期限・条件は、引用元から原文を開いて確認する
- 会社の資料は、個人アカウントに上げない
最初に触るときは、すでに読み終わった資料で試すのがおすすめです。答え合わせができるので、どこまで信用していいかの感覚がつかめます。
40代の時間は、資料を最初から最後まで読むことではなく、そこで何を決めるかに使うべきだと思います。全部読むのをやめても、仕事は回ります。
こうして日々の作業をAIに渡していくと、次はたいてい「もっと体系的に使えるようになりたい」という話になります。そのときの学び方については別の記事にまとめました。
→ 40代からのリスキリングで挫折しないコツ。現役社内SEが実践する「小さく試す」学び方
まずは、次の会議資料を1本アップロードしてみてください。読む前と読んだあとで、会議での落ち着き方が変わります。


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