エクセルの関数、まだググっていませんか。40代がAIに任せる「作る・直す・読む」の3つの使い方

表計算ソフトを開いたノートパソコンと印刷した表が置かれた窓辺のオフィスデスク パソコン

引き継いだExcelファイルを開いたら、見たことのない長さの数式が入っていました。

作った本人はもういません。何をしている数式なのか誰も説明できない。それでも今月の数字は、そのファイルから出さないといけない。

地方の中小企業で社内SEをしています、さかもとです。この手の相談は毎月のように来ます。そして相談されるたびに思うのは、40代のExcelのしんどさは、関数を知らないことではないところにあるということです。

この記事では、AIに「作る・直す・読む」の3つを任せるやり方をまとめます。使うのはChatGPTでもGeminiでも構いません。

AIをまだ使ったことがないという方は、先に【2026年版】40代の無料AIツール、結局どれから始める?を読んでから戻ってきてください。

40代のExcelがしんどいのは、「自分が作っていない表」を触るから

若い頃は、Excelは自分で作るものでした。だから中身は分かっていました。

40代になって変わったのは、引き継ぐ側になったことです。前任者が作った集計表、部署に代々伝わる管理ファイル、業者から送られてきたテンプレート。どれも自分が作っていないのに、数字の責任だけは自分に来ます

ここで必要なのは、関数を新しく覚えることではありません。目の前の数式が何をしているのかを、その場で読めることです。これはAIが一瞬でやってくれる仕事です。

関数は、覚えるものではなくなりました

先に結論を書きます。

関数は、覚えるものではなく、聞くものになりました。

VLOOKUPの引数の順番を、私は今でも覚えていません。覚える必要がなくなったからです。「別のシートから商品名で単価を持ってきたい」と日本語で言えば、AIがその場で数式を組んでくれます。

しかも今のExcelには新しい関数が増えていて、どれを使うのが最適かはバージョンや環境によって変わります。人間が全部を追いかけるより、やりたいことを伝えて選んでもらうほうが早くて確実です。

覚えることをやめると、Excelは急に軽くなります。

使い方は「作る・直す・読む」の3つだけ

赤いペンが置かれた、数字が並ぶ印刷された集計表

やることは3つに整理できます。順番に見ていきます。

1. 作る — やりたいことを日本語で言う

関数の名前を知らなくて構いません。やりたいことをそのまま書きます。

A列に商品名、B列に個数が入っています。
別シート「単価表」から商品名で単価を引いてきて、
個数をかけた金額をD列に出したいです。
Excelの数式を教えてください。

ポイントは、どの列に何が入っているかを書くことです。「A列に商品名」の一言があるかないかで、返ってくる数式の精度がまったく変わります。

返ってきた数式は、意味の説明も一緒に頼んでおくと後で困りません。「この数式が何をしているか、1行で説明も付けてください」と足すだけです。

2. 直す — エラーの原因を聞く

#N/A #REF! #VALUE! が出たとき、原因を自分で探すのはやめました。

エラーが出ている数式と、エラーの表示をそのまま貼って聞きます。

このExcelの数式で #N/A が出ます。
原因と直し方を教えてください。

=VLOOKUP(A2,単価表!A:B,2,FALSE)

これで、たいていは「参照先に一致する値がない」「範囲の指定がずれている」といった原因がすぐ出てきます。エラーの原因を調べる時間が、そのまま消えるのがこの使い方です。

自分では気づけない原因を指摘してくれることも多いので、5分探して分からなかったら聞く、くらいの気持ちでいいと思います。

3. 読む — 人が作った数式を「翻訳」させる

これが40代に一番効く使い方です。

引き継いだファイルの謎の数式を、そのままAIに貼り付けて聞きます。

このExcelの数式が何をしているのか、
Excelに詳しくない人にも分かるように説明してください。

ネストが5段になっているIF文でも、意図を日本語で説明してくれます。「これは、B列が空欄なら計算をスキップして、そうでなければ税込金額を出している」という具合です。

さらに続けて、「同じ結果になる、もっと分かりやすい数式に書き直してください」と頼めます。前任者の複雑な数式を、自分がメンテナンスできる形に置き換えられる。引き継ぎの現場では、これが一番ありがたい。

私は先月、10年前に作られた集計ファイルをこれで読み解きました。丸一日かかると思っていた作業が、30分で終わりました。

✓ Excelで困ったときの3つの型

  • 作る — 「A列に◯◯が入っています。△△したいです」と日本語で言う
  • 直す — エラーが出た数式をそのまま貼って「原因と直し方は?」
  • 読む — 謎の数式を貼って「何をしているか説明して」
  • 共通 — 実際のデータを3行だけ見せると精度が上がる

精度を上げるコツは「データの例を数行見せる」

3つに共通するコツが一つあります。実際のデータを数行、例として見せることです。

A列にはこういう値が入っています。
 商品A-001
 商品B-014
 商品A-002

これがあるだけで、返ってくる数式の精度が明らかに上がります。AIは列名だけでは中身の形式を推測できないためです。日付が文字列で入っているのか、数値なのか。全角スペースが混ざっているのか。そこを見せると、的外れな数式が返ってこなくなります。

コピーして3行貼るだけです。10秒かかりません。

会社のExcelをAIに貼る前に

積み上げた書類の束の上に置かれた黒縁のメガネ

社内のIT管理をしている立場から、ここだけは書いておきます。

数式そのものを貼るのは、実務上かなり安全です。 =VLOOKUP(A2,単価表!A:B,2,FALSE) という文字列に、社外に出て困る情報はほとんど入っていません。ここは気にしすぎなくていいと思っています。

問題はデータごと貼るときです。顧客名簿、社員の給与、取引先ごとの単価表。これらを丸ごとコピーして貼るのは、まったく別の行為になります。

⚠ 貼る前に一度だけ考える

  • 数式だけなら貼ってよい — 中身に社外に出て困る情報は入っていない
  • 顧客名・社員名・単価表は貼らない — データごとコピーするのは別の行為
  • 例を見せたいならダミーで足りる — 実在の値である必要はない
  • 迷ったらファイルを閉じて、翌日聞く — 急ぐ作業ほど判断が雑になる

やり方は単純で、数式は貼る、データは形だけ見せるです。前の章で書いた「データの例を数行」も、実在の値である必要はありません。商品A-001 のようなダミーで十分に伝わります。

会社に生成AIの利用ルールがあるなら当然そちらが優先です。ルールが無い場合の線引きは、別の記事にまとめました。

シャドーAIとは?会社にルールがないまま生成AIを使う怖さと、社内SEが引いている4つの線引き

マクロ(VBA)は、どこまでやるか

AIはVBAのマクロも書けます。「毎月やっている集計を自動化したい」と頼めば、動くコードが返ってきます。

ただ、書けることと、会社で動かしていいことは別です。

  • マクロ入りのファイル(.xlsm)は、会社のセキュリティ設定でブロックされることがある
  • 動かした結果がおかしくても、中身を読めない人が引き継ぐと手が出せなくなる
  • そのファイルが「自分が作っていない謎のファイル」として、次の担当者に渡ることになる

この記事の最初に書いた問題を、自分が生み出す側に回るということです。

なので私の線引きはこうです。自分ひとりの作業を楽にするマクロは作る。部署で共有するものは作らない。 共有するなら、情報システム部門に一度相談してから。

まずは数式で解決できないかを先に考えるほうが、結果的に速いことが多いです。

まとめ:関数を覚える時間を、別のことに使う

やることを整理すると、これだけです。

  1. 作る — やりたいことを日本語で言う。どの列に何が入っているかを添える
  2. 直す — エラーが出た数式をそのまま貼って、原因を聞く
  3. 読む — 引き継いだ謎の数式を貼って、意味を説明させる
  4. データの例を数行見せると、精度が上がる
  5. 数式は貼っていい。データは貼らない

最初に試すなら、3つ目の「読む」からをおすすめします。手元に一つくらい、意味の分からない数式が入ったファイルがあるはずです。それを貼るだけで、この記事の内容がそのまま体感できます。

AIへの指示の出し方そのものについては、別の記事にまとめています。この記事のプロンプト例も、その型に沿って書いています。

AIの回答が「なんかイマイチ」な理由。40代のための、指示の型「役割・背景・形・制約」

こうして日々の作業をAIに渡していくと、次はたいてい「もっと体系的に使えるようになりたい」という話になります。そのときの学び方については別の記事にまとめました。

40代からのリスキリングで挫折しないコツ。現役社内SEが実践する「小さく試す」学び方

関数の暗記に使っていた時間は、本来もっと別のことに使えるはずです。

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